その日は『うちの子にかぎってスペシャル2』の雑誌の取材で、

柳葉敏郎さんと高橋良明との対談でした。

渋谷の道玄坂にある、『てんぷら つな八』というお店です。

対談は1時間ほどで無事終わりました。

僕はその日、本当はいけないのですが車で来ました。

18歳で運転歴が浅いことがあり、車は使わないマネージャーでした。

後にも先にも、高橋良明を車に乗せたのはその時だけでしたが、

駐車場で車に乗るときに事件が起こりました・・・というより、起こしました(汗)

道玄坂の途中にある駐車場です。

立体駐車場から車が出てきて、さて帰ろうという時に、

何を間違えたか、僕は鍵を車の中に閉じ込めてしまいました(涙)

僕は良明の貴重な時間を潰してしまう焦りと、

どうしたらいいか分からずパニックになり、身体が動かなくなりました。

良明は「いっけだっさ~~ん」と、少し参ったなという感じと、

笑いが混じったような、あの憎めない甲高い声をあげました。

その時の良明は敏速でした。

すぐに駐車場の管理人に声をかけ、長い針金を調達してきてくれたのです。

良明はすかさず車の窓のところに針金を突っ込みました。

僕は良明にこんなことをさせてしまって申し訳ないと思いながら、横で見守ることしかできなかったのですが、

良明はそんなことにお構いなしという感じで格闘してくれて、15分くらいでしょうか、鍵が無事に開きました。

当時の車は針金の先を丸くして、窓の隙間から突っ込むと、

魚釣りの要領で引っかけて鍵を開けることができました。

その時、人が困った時に親身に、一生懸命になってくれる良明に本当に感謝しました。

あの出来事は、20年以上たった今でも忘れられません。

その後、良明の家に向かいました。

良明の家までは、渋谷から神奈川県のあざみ野までなので、そこそこ距離があります。

良明は「はい、そこ右」「3つ目の信号左」と、僕に的確に指示を出してきます。

僕は良明の方向感覚と記憶力にびっくりし、「すごいね!良明。よく道がわかるね」と言いました。

良明は「一度通った道は、大体忘れないよ。」と言っていました。

今となっては、思い出に残る1日でした。

 

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